2021/12/02犬の下痢はなぜ起こる?考えられる原因や予防策も解説
ペットとして飼っている犬は、一見すると健康そうに見えても体の不調を抱えていることも少なくありません。人間のように言葉を発することができないからこそ、飼い主はつねに犬の様子を観察し、気を配っておく必要があります。犬の健康を推察するためにはさまざまな方法がありますが、なかでも重要な手がかりとなるのが排泄物です。 もし、犬に下痢の症状が見られた場合、どのように対処するのが正しいのでしょうか。また、下痢の症状が現れる原因や予防法などもあわせて詳しく解説しましょう 。
下痢の原因として考えられるもの
犬に下痢の症状が現れる際、いくつかの考えられる原因が存在します。もし、実際に犬が下痢の症状に見舞われた場合には、まず以下の項目に当てはまるものがないかを探ってみましょう。
アレルギーによる下痢
ヒトは個人の体質によって特定の食物を口にした際、アレルギー反応が現れるケースがあります。正式には食物過敏症ともよばれ、アメリカン・コッカー・スパニエルやダックスフンド、パグ、フレンチブルドッグなどの犬種に比較的多く見られるのが特徴です。
アレルギーを引き起こしやすい食物の例としては、鶏や牛、豚、ラムといった肉類のほか、乳製品、卵、トウモロコシ、大豆、小麦などの麦類に含まれるタンパク質のうちの一つグルテン、またドライフルーツのうちでもプルーン、レーズン、イチジクなどが代表的です。
これらの食物を口にした犬は、下痢の症状以外にも皮膚炎や嘔吐を併発するケースもあります。
細菌による下痢
犬も人間と同様、細菌が体内に入り込むと腸炎を引き起こし、結果として下痢の症状が現れるケースがあります。一口に細菌といっても、下痢を引き起こすものには大腸菌やサルモネラ菌、カンピロバクターなどさまざま。通常、これらの細菌は健康な犬の体内にも存在しており、排泄物にも少なからず含まれています。
健康な犬の腸内では有害な細菌の数が増殖しすぎないように保たれているのですが、免疫力の低下などによって一時的に有害な細菌の数が増殖しすぎてしまうと下痢や発熱、食欲不振などを併発することもあるのです。
散歩の途中で拾い食いをしたり、犬自身の排泄物を食べてしまったりすると、細菌による下痢を引き起こしやすくなります。
ストレスによる下痢
犬によっても性格はさまざまで、ストレスを感じにくい犬もいれば、環境の変化に敏感でストレスを受けやすい繊細な性格の犬も存在します。これは犬種によって決まっているものではなく、生まれもった性格や成長過程における環境の違いも大きく影響します。
ストレスを感じやすい犬の場合、ホテルや他人の家など慣れない環境にいるだけで精神的な不安を抱え、体にさまざまな影響を与えることも。犬によっても症状はさまざまですが、代表的な症状として下痢が挙げられます。たとえば、旅行に出かけることは人間にとってストレスの発散になることもありますが、犬にとっては住み慣れない環境に置かれることでメンタルに悪影響を与えてしまう可能性があることも忘れないようにしましょう。
季節の変わり目による下痢
温かい季節から寒い季節に移行する時季などは、人間と同様に犬も胃腸の調子が悪くなり下痢の症状が現れることがあります。特に、朝晩の寒暖差が大きくなればなるほど、気温差に体がついていけず体調を崩すことも珍しくありません。
寒暖差の大きい地域にお住まいの方や、季節の変わり目などは特に犬の体調に目を配っておきましょう。
動物病院で診てもらったほうが良い症状
一口に犬の下痢といっても、症状が現れる頻度や程度もさまざまです。たとえば、1〜2回程度の下痢の症状が見られたものの、それ以外に目立った症状はなく食欲も旺盛で普段の様子に戻った場合には、それほど深刻に捉えなくても良いケースがほとんどです。しかし、下痢が慢性的に続いていたり、下痢以外にもさまざまな症状が併発するようであれば獣医師に診てもらう必要があるでしょう。
慢性的な下痢
数日間、または1週間以上にわたって下痢が続いている場合には、胃腸に何らかの異常が発生している可能性が考えられます。特に細菌が引き起こす症状の場合、早めの処置が必要なケースもあるため、数日間様子を見ても下痢が治らない場合には動物病院で診てもらうようにしましょう。
嘔吐・食欲不振・元気がない
下痢以外にも、嘔吐や食欲不振、元気がないといった症状が見られる場合には、重篤な事態につながる危険性があります。細菌による一時的な消化器官の炎症だけでなく、ウイルス性の感染症に罹っている可能性も考えられるためです。犬コロナウイルス感染症やイヌ伝染性肝炎などに罹っている場合、処置が遅れてしまうと命にかかわる危険性もあるため、普段に比べて少しでも様子がおかしいと感じたら急いで動物病院へ向かいましょう。
タール便・血便
タール便とは、タールのように黒っぽい色の便のことを指します。下痢の症状に加えて便の色も普段と明らかに異なる場合、腸内から出血している可能性も考えられます。このような場合、腸内に腫瘍ができていたり、内蔵に深刻な疾患を抱えているケースがあります。
精密検査をしてみないと便の色だけでは判断がつかないケースも多いですが、いずれにしても早急に動物病院で診てもらう必要があるでしょう。
下痢をしないための対策
犬の下痢を引き起こす原因にはさまざまなものが考えられますが、下痢の症状を抑えるためにはどのような対策が必要なのでしょうか。特に押さえておきたい2つのポイントを紹介しましょう。
アレルギー症状を引き起こす可能性がある食物に気を付ける
犬のアレルギー症状を引き起こす食物として、肉類や穀類、ドライフルーツなどを紹介しました。肉類や穀類はすべての犬にとって有害とは限らず、なかにはアレルギー症状を引き起こさない犬も存在します。重要なのは、それぞれの犬に合わせた食物を与えるということ。もし、過去に肉類や穀類を与えて体調を壊した経験がある場合には、それらを誤って与えることがないよう十分注意しましょう。
また、犬用のおやつとしてドライフルーツを与えるケースもありますが、人間が口にするものが犬にとってもすべて安全とは限りません。たとえば、プルーンやレーズン、イチジクといったドライフルーツは、犬にとって中毒症状を引き起こす物質が含まれており、口にすると下痢をはじめとした重篤な症状を引き起こすことがあります。
製品によっては、さまざまな種類の果物がミックスされたドライフルーツもあるため、上記の果物が含まれていないかをあらかじめ確認しておきましょう。
食物で免疫力を付ける
アレルギー症状を引き起こす食物もあれば、体の免疫力をアップさせる食物があることも事実です。ヨーグルトや納豆、甘酒といった発酵食品は、免疫力をアップさせる食物として知られていますが、これは人間だけでなく犬にとっても同じこと。ただし、ヨーグルトを犬に与える際には砂糖が入っていないものを、納豆は付属のタレや”からし”などを入れないように、甘酒は酒粕や砂糖入りでなく、米麹と水のみで発酵させたものを使いましょう。
ほかにも、バナナやりんごなども腸内環境を整えるために有効な食物です。りんごを与える際には、芯の部分に有害な成分が含まれているため、必ず食べやすいサイズにカットしてから与えるようにしましょう。
まとめ
今回紹介してきたように、犬も人間と同様に胃腸を壊して下痢の症状が現れることがあります。細菌や気温の変化、ストレスなどさまざまな原因が考えられ、一時的な軽い症状のものから重篤な状態に陥るケースもあり、飼い主は注意深く観察しておくことが重要です。
もし、下痢以外にもさまざまな症状が併発していたり、明らかに普段と様子が違うといった場合には、できるだけ早めに動物病院で診てもらうようにしましょう。